◆交通事故◆
1 不幸にして交通事故に遭われた場合、民事事件としては、被害者は加害者に対し損害賠償請求を行うことができます。刑事事件(人身事故)としては、被害者は警察に告訴状を提出して加害者の処罰を求めたり、事案によっては刑事手続に参加して意見を述べることができます(犯罪被害者支援のページ)。
以下は、民事事件についてご説明いたします。
2 手続の概要
(1) 事故後、症状固定まで
交通事故に遭われ入通院することになった場合、加害者側が任意保険に加入していれば、通常、症状固定まで保険会社が治療費を病院に支払います。症状固定とは、治療をしても症状がこれ以上改善しない状況をいいます。任意保険会社が治療費を打ち切り、症状固定日を巡って争いになることがあります。最終的には訴訟手続において裁判所が判断をしますので、被害者側の対応策としては、担当医師から治療経過に関する意見書を取得するなどしておきます。
また、事案によっては整形外科だけでなく、脳神経外科などでの事故後早期の受診・検査をお勧めしています。被害者の受傷状況、症状及び事故前後での行動等の変化(被害者の同居者から聴取)から、弁護士から見て高次脳機能障害などが疑われ、医師の同障害の診断書は得られませんでしたが、自賠責では高次脳機能障害の認定が得られた事案もありました。
(2) 症状固定後、自賠責の後遺障害認定まで
症状固定後、事案や加害者側の対応にもよりますが、被害者側から自賠責保険(共済)の請求をすることが多いです。その理由は、自賠責の定める金額の支払をまず受けられること、後遺障害等級の認定がなされれば概ね裁判所は認定された等級を裁判でも認めていることからです。自賠責の後遺障害判定結果に納得がいかない場合には、さらに医師の意見書、検査記録等を提出するなどして異議の申立をすることができます。
また、被害者側にも過失がある場合で人身傷害保険に加入している場合は、被害者側の保険会社から人身傷害保険金の支払いを受けて、過失相殺部分に優先して充当しています。
(3) 訴訟
裁判所に訴訟を起こすか否かは、任意保険会社の示談案にもよりますが、通常、任意保険会社は裁判における基準より低額の提案をしてきます。そこで、被害者に事故発生について重過失がなければ、被害者の意向により訴訟を起こす場合もあります。
3 損害の内訳
損害額算定のため、次の損害項目に関する資料の収集を行います。
人身損害:事故のため出損を余儀なくされた損害(治療費、入院雑費、付添看護費、交通費、装具費など)、事故のため将来得られたであろう利益の喪失の損害(休業損害、後遺症逸失利益、死亡逸失利益)、精神的損害(入通院慰謝料、後遺症慰謝料、死亡慰謝料)
物損:車両損害及び関連する雑費(修理費、代車料、評価損など)
◆交通事故事件の弁護士費用◆
ご相談は無料です。
ご依頼をされる場合、①弁護士費用特約が利用できる場合は同特約を利用し、同特約が利用できない場合は、②法テラスの民事法律扶助の利用をお勧めしていますが、事故態様等によっては③成功報酬制を利用することもできます。
(1) 任意保険の弁護士費用特約
依頼者側が加入している任意保険の弁護士費用特約が利用できる場合、保険会社が弁護士に直接費用を支払い、同特約の上限額を超えない限り、依頼者の経済的負担はありません。
そこで、依頼者本人、ご家族らにおいて弁護士費用特約付きの任意保険に加入されていないか、ご確認ください。
(2) 法テラスの民事法律扶助
弁護士費用の立替払いの制度で、月額5000円位ずつの分割払いができます。費用総額も、比較的低額に設定されています。民事法律扶助は、依頼者の世帯の収入・資産が基準より少ない場合に、ご利用いただけます。詳細は、弁護士費用のページをご参照ください。
(3) 成功報酬制
当初の着手金は必要なく、賠償金(保険金)から弁護士費用(報酬金)を清算します。報酬金は、経済的利益の11%です。下限は11万円です。
訴訟をする場合は、提訴前に裁判所に納める印紙代、郵便代をご負担ください。印紙代は請求額(訴額)に応じて決められています。
日弁連のウェブページ「弁護士費用とは」に「アンケート結果にもとづく 弁護士報酬の目安」が掲載されていますので、こちらもご参照ください。(https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid)