◆成年後見◆
成年後見は、知的障害、精神障害、認知症などのため判断能力が不十分な本人を保護するための制度です。
家庭裁判所(家裁)が、本人の判断能力の低下の程度に応じて、成年後見人、保佐人、補助人を選任します。
家裁に後見開始を求める申立は、本人、配偶者、四親等内の親族(本人の従兄弟など)などができます。
後見制度は本人の保護を図る制度であり、後見人は本人の意思を十分尊重しながら本人のために必要な身上監護、財産管理を行います。
身上監護として、後見人は、本人に定期的に面会をして、本人に要望などをお尋ねしたり、医務職員などに本人の健康状態をお尋ねしたりして、本人の生活状況、健康状態を確認し、本人のために必要な介護サービス利用契約、施設利用契約、診療契約などを本人に代理して行っています。
本人の入通院について、後見人は受診に同行して医師より説明を受け、治療方針に関する本人の意思決定の支援を行い、手術中は病院で待機をして緊急時に対応したりしています。
財産管理として、後見人は、本人の毎月の収支状況を把握し、財産がある場合は適切に管理を行い、一方、生活費も不足するような場合は生活保護申請などにより原資の確保に努めています。
また、本人の親族の遺産分割、本人の財産を横領した者への返還請求などを、事案によっては裁判所での手続きを利用して行っています。
本人の入所する施設に対して本人の財産の引渡しを求める親族もおられることから、本人の後見人として、このような親族への対応も行っています。本人に対して療養看護を行っている施設、病院から相談を受けて、本人のために必要な対応を行うこともあります。
後見人を監督する機関は家裁ですので、後見人は定期的に後見監督する家裁に報告書を提出して、適時必要な協議を行っています。
後見人の選任について、裁判所において、本人の利益保護のため適切な後見人を選任するようにしています。
後見人に社会福祉協議会(社協)、弁護士、司法書士等の後見人が選任された場合、これらの後見人は後見報酬(月額2万円弱から5万円)を裁判所の決定に従って本人の財産から受領します。
本人の後見報酬の負担を無くしたい場合は、子、親等の親族が後見人候補者になり、裁判所が本人のため適切と判断すれば親族後見人を選任するという方法があります。なお、親族後見人も、後見業務において、本人の収支と親族後見人の収支を明確に区分けする必要があります。
本人が生活保護世帯であるなど、本人に後見報酬を負担する資力がない場合、市の後見報酬助成を利用できる場合があります。
◆後見申立の弁護士費用◆
詳細は、弁護士費用のページをご確認ください。同ページの内、後見申立の弁護士費用は「事件類型ごとの弁護士費用」の「(7) 後見申立」の項をご確認ください。
日弁連のウェブページ「弁護士費用とは」に「アンケート結果にもとづく 弁護士報酬の目安」が掲載されていますので、こちらもご参照ください。(https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid)